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ケーススタディ:大型の文化芸術イベントの事例「六本木アートナイト」

2020年05月17日

ここ数十年ほど、地方創生が重要視されるようになるにつれ、その一環として様々な地域で大小様々なアートフェスティバル、芸術祭、アートプロジェクトなどが実施されることが増えてきました。

 代表的な例としては、2000年にスタートした「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」、2001年開始の「横浜トリエンナーレ」、2002年スタートの「アサヒ・アート・フェスティバル」などが挙げられます。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は地方の里山での開催で地域振興を期待され、「横浜トリエンナーレ」は大都市圏での開催である点と、創造都市政策と密接に関わる点が特徴として挙げられます。また、「アサヒ・アート・フェスティバル」はアサヒビールの資金援助により民間企業のCSR事業として、様々な地域での市民参加型のアートプロジェクト実施とネットワーク作りを支援してきました。

 ここで取り上げる六本木アートナイトは、2009年にスタートした都市型の大型文化芸術イベントです。この事業は東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、港区(2016年より)、六本木アートナイト実行委員会による主催です。もとは東京のオリンピック招致のための文化事業という趣旨があるため、都市型の盛り上がりをつくるイベントとしての構成です。そのために一晩限りの開催であり、数ヶ月に渡り開催される他の芸術祭と性質は異なりますが、文化による地域振興の促進を目指す大型アートフェスティバルとして、日本国内では先行事例といえます。

 このイベントの目的は、都心における感度の高い市民を対象に、文化芸術イベントや文化施設に馴染みのない層にも、先端的でエンターテインメント性も高い文化芸術のイベントに触れる機会を提供し、文化度の高い街として地域の夜間昼間人口のシビックプライドの醸成を促すことなどです。美術館などの文化施設が集積する地区である六本木が拠点ですが、各文化施設のほか商店街振興組合や総合デベロッパーなど、多様なステークホルダーで実行委員会を形成して運営し、共同主催の自治体含めてその連携により多様な価値が生み出されています。

 こうした大型文化芸術事業の背景には、地方行政単位等で策定されている文化振興法などの文化政策があり、そこに基づき事業が計画されていることも多いため、より質が高く恒常的な文化プログラムの提供には、現場から文化行政へのフィードバックが行われることも重要です。

 大型イベントは、従来の文化施設外で展開することにより、多くの人に多様な文化芸術イベントの体験機会を創出し、地域振興にも寄与することが期待されます。さらには、関わる人材の育成を促し、地域イメージの向上に貢献し、文化芸術事業がまちづくりの基盤として機能します。こうした文化によるまちづくり事業は、様々な課題解決事業が行われる前のインフラとして、まさに文化の語源であるところの、地域を「耕す」機能を有しているといえるでしょう。

図表5:六本木アートナイトのステークホルダー毎のロジックモデル

出所:六本木アートナイト2016事業評価検討会報告書

http://www.roppongiartnight.com/2016/evaluation.html

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